遠い夜空のオリオン

幼馴染との淡い想い出を綴る私家版郷土史

最後のラブレター Part3

書こうとして書けないラブレターがある。

それは、最後のラブレターPart3である。

私に起きた事
あの人に起きた事

それらは、あまりに偶然で、そしてあまりに衝撃的であり過ぎた。

あの人は、たぶん、私一人にただ一度の恋をし
一方の私は、恋多き男で
余所見ばかりしたようだ。

恋と結婚、私には同じゴールであるとは思えず、現実を考えた選択をした。
しかし、あの人は、そうではなかった。

私は、何よりも破局を恐れた。
あの人は、恐れがなかった。

私は、すべてが予定調和されたような時空間で
人生の過半を生きた。

あの人は、すべてを乗り越え、健気に、孤高に生きた。

私には、あの人の呼びかけに応えるすべはあったはずだ。
最後に私は応え、告げなくてはならない。

それゆえ、最後にラブレターを書く人がいるとすれば、それはただ一人しかいない。

為し得た多くの事に一つ一つの意味を尋ね
互いが互いにとってどんな存在だったのか

私はそれを告げずには、いられない。