きみ子のことを書きたい。
と言っても実在する、きみ子、ではない。
でも、本当は、実在しそうな、きみ子、なのである。
小泉八雲の短編集に「きみ子」がある。
あらすじは書くまい。
小泉八雲 短編集 「きみ子」テキスト文書
http://teabreakt.studio-web.net/9kimiko.pdf
この話、霊的な世界が満ち溢れた
古き良き時代の日本では当たり前のように起きていたことだったような気がして読んでいる。
良縁を敢えて断り、好きな人から去り、行方知れずとなり、前触れなく現れ、現世への最後の伝言を託した、きみ子の姿に、私は涙すると同時に、一人の女性の姿を思い浮かべる…………
名は書くまい。
会わなくても、会えなくても、想いは通じているはずだ。
かくして、私は、そのひとの愛情の深さを知るのだ……………