遠い夜空のオリオン

幼馴染との淡い想い出を綴る私家版郷土史

おもちゃ屋「たもちゃん」の想い出

おもちゃ屋の想い出話をさせていただく。

アーケード時代の平和通りを通ったことがある人なら、市街隅々で街頭放送を聞いたことがあると思う。
その街頭放送で、当時、一番記憶に残った店は、なんと、おもちゃ屋だった。

店の名は、おもちゃ屋「たもちゃん」。
その店は、今はもうない、3条8丁目の富貴堂という書店の交差点向いの脇にあった。

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街頭放送は、こうだった。
おもちゃの「たもちゃん」、おもちゃの「たもちゃん」

単純なフレーズが、何年も繰り返された。

それから数十年経ち

ある冬の夜、私は、失意の中で、この声を聞いた。
私は、迷っていた。
私は、その声によって、自分が何のために生きていたのかを悟り、生き方を変えた。

私は、自分が大切にすべきものが何であるのか
を見出し、本当の自分を取り戻したのだった。

さて、私が、この店で買い物したのは、小学生時代の「パズル」2つしかない。そのパズル、今はどこに行ってしまったか、記憶は定かでない。

だが、買い物公園のこの店先近くを歩くとき、おもちゃの「たもちゃん」、おもちゃの「たもちゃん」のフレーズは、耳の奥から離れることがない。

あたり一帯は、平和通りではなく、買い物公園に変わり歩行者天国となった。
アーケードは既になく、車道と歩道の境目も今ははっきりしない。

この街頭放送だけが、当時の店先を懐かしむように、今日も、そのままの音声で続いている。