遠い夜空のオリオン

幼馴染との淡い想い出を綴る私家版郷土史

出生地に咲く花の想い出

今年も春が来た

私は半年ぶりに自分の居場所を見出した

ある年、出生地に咲く白百合の花をみつけた

私は
記憶の彼方の
花畑に舞い戻った

そこには、
母に抱かれた幼子の自分がいた

記憶の風景では
空はいつも青く
周囲一帯に光が溢れ
希望を信じ
生きた
時代があった

だが
ついに
母は病に倒れ
この世の人ではなくなり
それからしばらく
私は記憶と未来を失った

それから導かれるように
故郷に舞い戻り
私は
失ったものが何であるのか
答えを探し始めた