故郷の街を象徴する建物の一つに市庁舎がある。
この市庁舎、建築コンペを実施して設計された、建築デザイン上の価値がある建物である。
建設後、既に、数十年は経過しているものの、中にいて多少古さがあることを除いて
外観に問題はないようだ。
さて、この市庁舎。
実は、想い出らしい想い出がない。
古くは音楽教室に通う際に眺め
戸籍関係の書類をもらう時に出向き
学生時代は、通学路の途中にあった。
近くから眺めることが多く、その優美なたたずまいを知ったのは
散歩がてら7条通りの緑道を過ぎたときだった。
それは北西の角度だった。
電線類が取りはらわれ
悠然と構えるその威容は
確かにそれなりの建築物の風情だった。
と同時に
この街が
いつも
数十年前と変わらない姿を留めているように見えるのは
この市庁舎の存在が大きかったことを悟った。
駅舎が更新され
かつての駅前ビルが姿を消し
地場のデパートが閉店し
地場の書店
レコード店、時計屋が街中から姿を消した今
この市庁舎だけは
当時のままでいて欲しいと願っている。