遠い夜空のオリオン

幼馴染との淡い想い出を綴る私家版郷土史

あの人のお父さんと自分は……

偶然、あの人のお父さんを見つけた。一目見て、あの人とそっくりだと思った。
以前、あの人のお母さんも偶然見たことがある。
どちらも一目で眼が印象的な人だと思った。

女性というものは、父親似の男に恋をするという話を聞いたことがあるが、
私に恋してしまったあの人は、私に、たぶん、あのお父さんに容姿、雰囲気が似ている事に気づいたのであろう。

そういう私も、母の結婚前の写真にそっくりな女性が初恋の人だった。

私と、あの人の間で、
似ているところをあげるとすれば
瞳の水晶体の部分、ほお骨周囲の輪郭、ひたいとほお骨周辺の皮膚
太もも
歩き方
ではないかと思う。

実は、そこまで似るには、それなりの根拠がある。

当時、母は、私が一切何も語らなくても、私の交友関係
特に、どの女の子が私に気があるのか
実は、知っていた。

参観日などで女の子のお母さんに挨拶されたり、
または、あの人の親戚の人が近所に住んでおり、それとなく母と話した関係で
母がすべて気づいてしまったのである。

そういう母もそれなりの情報網があり、ある決定的事実を掴んでいた。

母が言うには、なんと母方同士、遠戚なのだそうだ。

そして、「女の子を泣かせるようなことをしてはいけない」と諭すように言われた。

ただ、その時、私は、
夢中だった女の子のことと
本当は好きになるべき、あの人のことで気持ちの整理がつかず、
どうしていいのか、わからなかった。

それがすべてだった。