遠い夜空のオリオン

幼馴染との淡い想い出を綴る私家版郷土史

結婚を決意した?ある女性

大学時代、大学教授の娘さんが好きになってしまった。
その教授は、フルブライト留学経験ある高名な教授だったらしく、人名録などに名前が載っている人だった。

おまけに、すらっとしてスタイルがよく、見るからに、清楚で聡明な女性だった。
ギリシア彫刻に出てくるあの有名な像の雰囲気に似た美人だった。
なぜだがわからないが、大学外のいろいろな場所でよく出会い目があった。
私の方は、好きだと言うよりはなんとなく憧れの対象として眺めていた。

あるとき、大学の美術部の展覧会で、彼女がモデルになっている肖像画を見た。なかなかの出来栄えだった。
彼女の清純さ、聡明さがうまく描かれていた。
当時私は、絵の勉強をしていたが、私はそのレベルではなかった。
正直「負けた」と思った。

そして、何事もなく、卒業した。
彼女は、私に何事か話したかったようだったが、私は私でいまだに忘れられない女性の残像に悩まされ、うまくいくはずがないことを予見し、時が過ぎるのをじっと待つしかなかった。

卒業の前に、私のことを好いていた別の女性が、その彼女が私との結婚を決意していたことを私に忠告してくれたが、別のタイプの女性が好みであると嘘をついた。

あの残像を完全に消すために苦悶する真っ最中だったからだ。